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Accuphase E-301修理記録 その1

いきさつ
(1)アンプの状態
(2)アンプの回路調査(と修理)
  (a) ボリウム周辺
  (b) MCヘッドアンプ
  (c) イコライザー(EQ)アンプ(と修理)


いきさつ
 98年5月7日のことですが、ネットニュースのフリーマーケットで、壊れたAccuphase E-301を無料で譲るとの書込がありました。早速、メールを入れると1番目の申込みのようでした。但し、条件があって、修理して使う人を優先するとのこと。メーカー製の高級アンプなんか触ることもできなかった貧乏マニアとしては、もちろん異存がなく、譲り受けることにしました。

 車で受取りに行き話を聞いてみると、故障の症状は、ガリオーム (この言葉、今では死語になっているかも。接触が悪くなったボリウムを回すと、ガリガリとノイズが出ることから使われました。最近は、ガリオームになっているアンプに出会わないですね。) になっていてノイズが出ることと、イコライザーアンプから音が出ないとのことでした。いざとなれば、イコライザーアンプを自作のものと入れ換えてもよいと思い、貰って帰りました。

 なお、E-301については、オーディオ懐古録のページに詳しく解説があります。そちらを読むと、ここの回路図が理解しやすいかと思います。

(1) アンプの状態
 外観は汚れが目立ちました。修理記録その2のリレー回路の所で述べるように相当長い時間使われたアンプのようです。喫茶店などの営業用に使われていたのかもしれません。たばこのヤニがこびりついているという感じでした。
 カバーを開けてまたびっくり。接点復活剤と思われる油状の液で中はベタベタ状態でした。ガリオームということで、接触をよくすれば直ると思いスプレーしたようですが、掃除が大変そうです。

 故障の症状を確かめるため、デッキと接続し、スピーカーは安物のものをつないで音出ししてみました。一応、音は出るのですが、キーンというノイズが乗っています。
 そこまで確認したところで、掃除することにしました。ティッシュ、綿棒、車の汚れ落とし、エタノールを駆使して掃除したら、外観は見違えるように綺麗になりました。内部のベタベタも、或る程度なくなったところでよしとし、掃除を終了しました。

(2) アンプの回路調査(と修理)
 目に見える所が壊れているだけならば、交換だけで修理が終わるので簡単です。しかし、通常、不具合のあるアンプを修理する場合、回路図がないと手が出せません。このアンプの場合、外観からは故障箇所が分かりませんでした。かといって、自作マニアとしてはメーカーに修理に出すのは論外です。
 こうなると、プリント基板を調べて、回路図を作るしかありません (こういうことが楽しみでオーディオに嵌り込んでいるという話もあるが)。あと、オシロスコープも必要になります。

 必要な部分の回路図を作ってからテスターとオシロスコープで動作の確認をし、故障している部品を見つけて交換します。

 自作しなくなってから、オシロスコープは処分してしまいましたので、買うしかありません。10MHzくらいの安い中古品を買おうと、秋葉を捜したら、意外と使えるものが見つかりません。安いものは、動くのかなあと不安になるくらい古いものとか、ディスプレイが小さくて使いにくそうです。あちこち探しながら歩いていたら、ケイテクという店がありました。中に入ったら、おじさんがいて「予算*万円くらいでないですか?」 (*万円? 恥ずかしくて書けない) と聞いたら、今いじっているものなら安く譲るよと言われたのですが、どうも調子が今ひとつです。そのうち、商品棚においてあった予算よりだいぶ高いものを取ってきて、持っていっていいよといわれ、買って(2万円 (^^;) )帰りました。スペックは、100MHz、2現象と大幅にアップしました。

 なお、ここで示す回路図は私が調べたものであり、間違っている可能性があります。正しいとは限らないことを付け加えておきます。
 
(a) ボリウム周辺
 ガリオームということだったので、交換しようと思いボリウムの形を調べました。Alpsのデテント型と同じもののように見えたので、秋葉の三栄無線(今は埼玉県桶川市のようです)で50KΩAタイプを購入し、交換しようとし配線を見たら、E-301に付いているものは端子が1本多い????? ボリウムの配線周りは、アッテネッター回路とコネクタが絡んでいて複雑なため、ボリウムの動作がよく分からない。しかし、ボリウムの入力抵抗が19.2kΩ一定になっていることから、特殊なボリウムを使用していることは分かります。

 仕方がないので、付いていたボリウムを外し、可能な限り分解して接点クリーナーで内部を掃除し、CRE-556(おいおい大丈夫か?)を吹き付けました。再び組み立てて、取り付けし、ハンダ付けしました。あとでガリオームになっていなかったことが分かったのですが、後の祭りです。
 しかし、その後全く問題なく使用できていますので、大丈夫のようです。運が良かっただけかもしれませんが

volume
ボリウム回路周辺


(b) MCヘッドアンプ
 E-301には、MCカートリッジ用のヘッドアンプが付いています。電源電圧が低いことと、抵抗の値が小さいことが分かります。あと、このアンプ全体に言えることですが、定電圧源に発光ダイオードが使われていることが多いのです。これでちゃんと動いているので問題ないのでしょうが、発光ダイオードの特性って そんなにシャープでしたっけ? (私がよく知らないだけ?)。
 定電圧電源の入力側に追加してあるケミコン、アンプに追加したあるパスコンは、次のイコライザーアンプのトラブルがあったため、気休めに入れてあります。
 

E-301 MC1

E-301 MC2

mc_p
定電圧電源の発光ダイオード


(c) イコライザー(EQ)アンプ(と修理)
 イコライザー(EQ)アンプは、入力抵抗が270kΩになっています。この前に、抵抗切替回路があり、100、47k、82k、150kΩから選択出来るようになっています。回路は、ソースフォロア+2段増幅+エミッタフォロアの構成です。直流電圧が出力に出るのを防ぐため、直流付近には、OPアンプを使った帰還回路が加わるようになっています。

 EQアンプの電源は、メインアンプの出力段から82Ωの抵抗を介して供給されています。この場合アースの処理が大変なのですが、さすがにメーカー製らしく、プリント基板上でアンプ部と電源部のアースが分離されているなど、うまく処理されています。

 実は故障の原因の一つが、EQアンプの電源にありました。テスターで調べている時は、マイナス側の定電圧出力電圧が若干低い程度で、正常に動作しているように見えたのですが、オシロスコープで調べたらマイナス側の電源が発振していました。”キーン”というノイズは、この発振を拾っていたものでした。

 メインアンプの出力段から来ている配線の途中の抵抗の値が82Ωから150Ωに変化し(電源回路図の左下)、電源部に供給される電圧が下がったことと、コネクタによる影響で、電源部分の動作が不安定になったようです。コネクタの後に大容量のコンデンサを入れることで、発振が止まりました。

 コネクタでは以前にもパスコンを入れないと、スパイク状のノイズが出た経験がありました。電源のコネクタは、要注意です。

 発振が止まったことにより、アンプから出ていた“キーン”という音はなくなりました。

 こような故障では、オシロスコープがないと故障箇所が分からずお手上げです。ケイテクのおじさんに感謝、感謝です。

 EQ1



EQ2

EQ_p
発振していた電源部。左端がコネクタ。中央上の2個のケミコンが追加したもの。


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