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パソコンで音楽を聴く

mp3の音質 - 初めて聴いたときの感想
1998年頃 - (128kbpsのmp3しかないと思っていた)
2000年頃 - (ハイビットレートへ)
2001年頃 - (システムのグレードアップとLPレコードの録音)
2002年頃 - (音質の向上作戦)
2003年頃 - (CCCDの影響)
2004年 - (再度音質向上へ)
最後に

(2004.5.10更新)

 現在のようにmp3などの圧縮録音技術が使えなかった頃、音楽のデジタル化といえばwavファイルにすることでした。
 1994年頃までのパソコンだとハードディスクの容量が1Gバイト未満のものが多く、CD一枚すら録音することが難しい状況でした。 また、NEC98全盛であったことと、NECの戦略で i386 20MHz以上の能力を持つパソコンがなかなか出てこなかったこともあり、まともに音楽を再生できる環境でもなかったのです。
 その後、IBM PC/AT互換機(通称DOS/V機、今ではこれが普通のパソコンになってしまった)が広まり始め、ISAバス用(これも現在では死語か?)のサウンドカードが使えるようになりました。 しかし、ネックは、wavファイルのサイズが大きくて、ハードディスクの容量が不足してしまうことです。かといって、midi音楽だと面白くないしということで、手を出さないままの状態が続いていました。

 そうこうしているうちに、ハードディスクの大容量化と低価格化が進み、インテルとAMDのCPU競争による性能の著しい向上などのため、パソコンで音楽を聴くことができるようになってきたのです。

 私が、パソコンで音楽を聴こうと思ったきっかけは、 98年の秋頃のこと、 まだ、ダイヤルアップでインターネットに接続していたときですが、mp3という音楽の圧縮方法と、それを再生するためのwinampというソフトがあることを見つけたことです。 ちょうど、mp3が流行りだしたその頃です。

 残念ながら、その頃の我が家のパソコンは、まだCyrix6x86-166GPで、音源はSoundBlaster AWE32であり、32音源のMidi音楽再生がなんとかできるという状態でした。(その後、99年1月にK6-2 300MHz、99年の6月にK6-2 400MHz、2001年の7月にやっとPentiumIII800MHzになりました。) CD-ROMドライブも、等速でしかリッピングできないものしかありませんでした。今では、考えられないような貧弱な環境です。

 だからといって、何もしないのは沽券に関わるということで、試行錯誤と、安物買いの銭失い的パソコンのグレードアップが始まったのであります。

mp3の音質
 本題に入る前に、アナログ音楽からデジタル音楽の領域に入り込んだ私が、最初にmp3の音楽を聴いたときの感想を述べたいと思います。
 最初にmp3 (Yunasoft MP3 Encoderで作ったもの) とwavファイルの音を比較したときに、正直言って、違いが分かりませんでした。また、エンコーダーの違いを聞き分けようとしても、やはり違いが分かりませんでした。 

 なぜ???

 アナログ時代の比較試聴では、フォノカートリッジを変えたり、アンプを変えたり、スピーカーを変えると、音のざらつき、高音・低音のバランス、奥行き感など音全体が大きく変わってしまいます。
 私がmp3という圧縮方法を見つけた時、圧縮音楽も同じようなものだろうと思っていましたので、アナログ時代の感覚でmp3とwavを比較してしまい、全く同じに聞こえてしまったのです。
 ただ、プリエコー(シュワシュワという感じ)については、最初の頃から気になり、プリエコーの少ないエンコーダーを選んで使っていました。 ( Fraunhofer IIS MPEG Layer-3 Codecは音質が良いと言われていましたが、ビージーズ、サイモン&ガーファンクルなどの一部の曲ではプリエコーが気になって、ちょっと使う気になれませんでした。 dbxや東芝のadressのブリージングノイズと似た所があって、非常に気になりました。 この点では、アナログの感覚を引きずっていたのかもしれません。)

 wavとmp3 或いは mp3エンコーダーの比較では音が変化するというよりも、空気感というか、残響の部分に違いが出てくるようです。 もちろん、古いエンコーダーと、最新のlameを比較すれば、音のざらつき、高音・低音のバランスに差が出てきますが、音が大きく変化したという感じはしません。 これが分かってからは、mp3エンコーダの比較ができるようになりました。 要するに、聞き分ける所が違うということだと思います。

1998年頃 - (128kbpsのmp3しかないと思っていた)
 mp3エンコーダーは、Fraunhofer IIS MPEG Layer-3 Codecが良いということだったのですが、これをバンドルしたソフトが著作権に抵触しているということで問題になっていました。製品は、ちょっと試すには高すぎて購入する気になれません。ただ、東欧や、ロシアではアップしているサイトがあったので、そこからダウンロードし、試してみることにしました。
 また、mp3関係のサイトを覗いてみると、Yunasoft MP3 EncoderとFraunhofer IIS MPEG Layer-3 Codecを組み合わせて使うと便利であると書いてあったので、YunaSoft MP3 Encoder 98をダウンロードし、ユーザー登録しました。登録料よりも、送金手数料の方が高かったことを覚えています。
 さて、それから音楽CDをリッピングしてwavファイルを作り、エンコードすることになります。しかし、当時のパソコンのハードディスク容量は、まだ2~4GB程度の容量しかありません。CD1枚をリッピングすると、ハードディスクの空きがなくなるような状態でしたので、数曲をリッピングしてエンコードすることにしました。

 しかし、Fraunhofer IIS MPEG Layer-3 Codecでエンコードしたビージーズのマサチューセッツを再生してみると、シュワシュワした感じになっていることに気づきました。何度エンコードをやり直しても、このシュワシュワ感が消えません。そこで、YunaSoft MP3 Encoder 98に附属しているエンコーダーに変えてみたところ、シュワシュワ感がなくなったので、しばらくこのエンコーダーを使うことになりました。ちなみに、このエンコーダーのエンジンは8hz-mp3(Junさんのサイトに情報があります。)を改良したものだそうです。

 その後、CDを何枚かmp3に変換しました。しかし、ここで、Cyrix6x86-166GPは、整数演算は速いが実数演算は弱いという現実を実感することになります。1曲エンコードするのに1時間位かかっていました。5~6曲エンコードするのに、一晩中パソコンを動かしたこともあります。

 mp3を再生する段になって、この処理が非常に重いことも分かりました。winampだけ動かして音楽を再生しても、パソコンの処理能力が追いつかず、音がとぎれるのです。今のように、音楽を聴きながらゲームをするなんてのは、絶対禁止でした。それでも、CDと区別がつかない位 素晴らしい音質には感動しました。

2000年頃 - (ハイビットレートへ)
 そのうち、仕事が忙しくなり、しばらくmp3から離れていたのですが、2000年の春になってマレーシアへ一ヶ月半ほど出張しました。その時、パソコンにmp3のファイルを入れて持って行きました。
 現地で、シンガポールの中国系エンジニアと一緒に仕事をすることになったのですが、彼等もmp3ファイルを入れたCD-ROMを持っており、そのファイルを再生したときの表示が160kbpsでした。
 彼等とmp3について話していたとき、128kbpsだと音が良くないとのこと。mp3は128kbpsがあたりまえだと思い込んでいた私には、少々ショックでした。

 日本に帰ってからmp3関係の情報をファイルを集めてみると、mp3から離れている間に技術が格段に進歩していること、高音質を求めるなら192kbps程度以上を狙う必要があることなどが分かりました。また、国産の高音質エンコーダーm3eという名前が目にとまりました。 既に、その時は配布が終了していたのですが、あちこち捜して手に入れ、エンコードしてみると、確かに音がよろしい。128kbpsでも今まで使っていたYunaSoft MP3 Encoder 98よりも音は良いのですが、さらに音質を向上させるため、VBR(可変ビットレート)の192kbps前後、クラシックだと250kbps前後でエンコードするようにしました。

 このとき、手に入れたm3e0.98βは、2003年頃まで使っていました。カラヤン狂さんも、m3e0.98βのメリットを述べていますが(カラヤン狂さん掲示板2001.6.18のコメント)、他のエンコーダに比較すると、奥行き感、静かに消えていくような音、大きな音の後ろで静かに鳴っている楽器、残響などの再生に向いているようです。 その頃、他のエンコーダ(m3e0.99、m3e0.99a、M3SE、LAME、gogoなど)も試したのですが、音が硬いというか、あるレベルで音がバッサリ切られてしまうようで、私の好みに合いません。もちろん、最近のポップ系の曲などは、lameの方が良いように思いましたが・・・・

 デコーダーはwinampのものをそのまま使っていたのですが、柴田さんのin_mpg123.dllが音質がよいということだったので、置き換えてみました。確かに、細部まで再生できるし、音のバランスも良好です。その後、柴田さんのサイトは閉鎖されてしまいましたが、おたっちゃんが改良版 (氏は改悪バージョンと呼んでいます) を提供して下さっています(http://www3.cypress.ne.jp/otachan/)。

 この時点で、我が家のパソコンはAMD K6-2 450MHz、ハードディスクは8.2GB、CD-ROMも高速になっていたので早速CDを2~3枚リッピングしてmp3ファイルを作りました。サウンドカードは、SoundBlaster AWE32からCMI8738を使った安物カードにグレードダウンしていましたので、オーディオ的なグレードはかなり問題がありました。しかし、逆にデジタル入出力の自由度が高くて(デジタルからデジタルへの多世代コピーもできた)、使いやすい代物でした。

2001年頃 - (システムのグレードアップとLPレコードの録音)
 2001年の春になって、パソコンオーディオのグレードアップを考えることにしました。きっかけは、sofmapでKORGのU1を安く手に入れたためです。ONKYOのSE-U77のOEM品で、今まで使ってきたサウンドカードとはレベルの違う音が出ます。しかし、パソコンの能力が貧弱で、音が途切れれて、ちょっと使い切れません。そこで、ハードディスクを60GB、CPUをPentiumIII 900MHz、メモリを256MBにグレードアップしました。マザーボードは、BXチップセットの最後期品であるASUSのCUBX-Eです。
 本当は同じASUSのP3B-Fにしたかったのですが、製造中止になっていたし、今さらATA33でもないだろうと思ったのです。しかし、P3B-FとKORG U1の組合わせではノイズもなく快適に再生できるのに、CUBX-Eでは音の途切れが発生します。ネットワークを使っているときに、特にその傾向が強いので、音楽を聴くときは、INASOFTさんの「すっきりデフラグ」を使い、winampのみを起動していました。

U1
私のパソコンオーディオの中心になっているKORG U1

 音楽の再生では途切れが発生しますが、録音は意外と問題が少なくて、長時間の録音でもノイズが乗ることはありません。 そこで、古いレコードを録音することにしました。アナログ系は、以下の通りです。

カートリッジ: オーディオテクニカ AT-160ML
トーンアーム: オーディオクラフト AC-3000Silver+MS/T
ターンテーブル: DENON DP-80
イコライザーアンプ: 自作NO-NFB(本サイトで紹介しているもの)

 加藤登紀子、シモンズ、高田真樹子、映画ジェレミーの主題歌、飛行船(安部光俊が大学時代に作ったグループ)などを録音しました。いくつかの曲はCD化されているものがあったのでアナログとCDの音の比較ができたのですが、奥行き感というか、空間感はアナログの勝ちという感じです。
 アナログは、44KHz、16bitの特性を生かして録音したCDに負けるのは当たり前と考えていますが、古い録音でかつ同じソースであれば、アナログの方がいいかなという感じがしました。
jeremy
ジェレミーのサントラ盤LP。今時、こんなレコードを持っている人はいないかも

2002年頃 - (音質の向上作戦)
 パソコンのOSはWindows98のまま頑張っていたのですが、世の中の流れに逆らえず、WindowsXPに乗り換えることにしました。結果的に、これが良かったようです。音楽を再生していたときの音の途切れが非常に少なくなり、ゲームをしながら音楽を聴くこともできるようになりました。
 mp3プレーヤーも、lilithに変更しました。lilithの初期バージョンではそれほど音が良いと思わなかったため、使っていなかったのですが、音質が著しく向上していました。圧縮音楽では、奥行き感、空間感の再生は難しいのかなと思っていたのですが、lilithだと再生できるようです。

 KORG U1は、オーディオシステムに接続してスピーカーから音を出すこともできるのですが、ヘッドホンで聴いた方が便利なので、もっぱらヘッドホン(オーディオテクニカATH-A9X)で聴いています。

2003年 - (CCCDの影響)
 CCCDが出てきたりしたため、新しいCDを買う意欲がなくなってしまいました。 わざわざ音を悪くしたCDなんて、聞く気になれませんし、圧縮してパソコンで聞くこともできないのでは、CCCDの名前を見るだけでもいやになります。
 CCCDが出てきてから買ったCDは、5~6枚程度でしょうか。 もちろん、CCCDは1枚も買っていません。音に影響のあるCCCDだと買う気になれないし、レコード会社の姿勢に賛成できなくなってしまったことが大きいかもしれません。

2004年 - (再度音質向上へ)
 2004年になってLameが3.951になり、音質が向上したようです。 このため、m3e0.98βを使わなくなりました。 今まで、mp3にしたときにちょっと音が硬いなと思っていたCDについて、もう一度エンコーダの比較をする必要がありそうです。

最後に
 wavファイルを圧縮処理すると、m3e0.98βや最新のlameを用いて192kbps以上で処理しても、音が平面的になってきます。また、LPレコードを録音したものは、スクラッチノイズが目立つようになります。元のwavファイルをNO-NFBアンプで再生した音だとすると、圧縮後の音はNFBアンプで再生したようになります。 lameを開発されている方々には、この点を意識して欲しいと感じています。 ただ、他のエンコーダーに比較すれば、音が良いことはいうまでもありません。

 また、mp3は特許の問題が絡んでいたりするため、特許を回避した様々な圧縮方法が出てきています。しかし、その多くは音質向上と言うよりも圧縮率の向上に目が向いているようです。息子が、wmaで圧縮した64kbpsのファイルを聴く機会がありましたが、プリエコーが強くて長く聴く気になりませんでした。個人的には、圧縮率よりも音質向上を意識した圧縮方法があってもよいのではないかと思っています。

(2004.5.10)
 最近デジタル入出力のテストで新しいサザンオールスターズのCDからWavファイルを作ってみたのですが、すごい波形でした。徹底的にリミッター処理をしていて、ピークレベルが、0dB付近に張り付いたままでした。はじめて見たときは、クリップしているのかと思ってしまいました。 サザンオールスターズのCDを使ったのは偶然でしたが、最近の録音はこんなものなのでしょうか? 目立つ音になればいいという考えだけでCDを作っているような気がして、ますますCDを買う気がしなくなりました。

使用してきたパーツ一覧
 試行錯誤の繰り返しで、使ってきたパーツです。
■サウンドカード、サウンドユニット
■スピーカー、ヘッドホン
■CD-ROMドライブ
 ・Creative AWE32
 ・Creative AWE64
 ・NOVAC REMIX2000
 ・KORG U1
 ・オーディオテクニカ ATH-A9X
 ・オーディオテクニカ AT-SP19
 ・Altec Lansing ACS51
 ・東芝 XM-5301B
 ・ソニー CDU311
 ・TEAC CD-540E



■マザーボード
■CPU
■ソフト
 ・Gigabyte GA-586SG
 ・FIC VA-503+
 ・Tekram P6B40A4X
 ・ASUS CUBX-E
 ・Cyrix6x86-166GP
 ・AMD K6-2 300
 ・AMD K6-2 400
 ・Celeron300A
 ・PentiumIII800MHz(922MHzで使用中)
・Fraunhofer IIS MPEG Layer-3 Codec
・Yunasoft MP3 Encoder
・XingMp3Encoder
・m3e
・M3SE
・lame
・gogo(午後のコーダ)
・winamp
・SCMPX
・lilith
などなど、他多数


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